「この家のせいですか?」
と明日実は訊いた。
「貴方が決まった家を持たないのは」
貴継は答えなかった。
先程の様子からして、今、この家を所有しているのは、貴継の一家ではない。
会社を追われたときに手放したのだろう。
「小金はあるが、それで買い戻せるような家じゃないしな。
……いつか取り戻したいと思って、何処にも定住せずに来たけど。
なんだか今は、ちょっと。
この家が過去の遺物のように感じられもする」
そんなことを貴継は言った。
「荒れ果ててて、かつての面影がないからって言うんじゃないな」
なんて言うか、気持ちの問題だ、と言う。
「仕事もやりがいがあって、毎日、充実してるからじゃないからですか?」
毎日楽しいのなら、もう過去にこだわる必要はないはずだ。
「まあ、ある意味、今が一番楽しいな。
お前が毎日、阿呆なことばかりやってくれるから」
いや、待て、と思った。
と明日実は訊いた。
「貴方が決まった家を持たないのは」
貴継は答えなかった。
先程の様子からして、今、この家を所有しているのは、貴継の一家ではない。
会社を追われたときに手放したのだろう。
「小金はあるが、それで買い戻せるような家じゃないしな。
……いつか取り戻したいと思って、何処にも定住せずに来たけど。
なんだか今は、ちょっと。
この家が過去の遺物のように感じられもする」
そんなことを貴継は言った。
「荒れ果ててて、かつての面影がないからって言うんじゃないな」
なんて言うか、気持ちの問題だ、と言う。
「仕事もやりがいがあって、毎日、充実してるからじゃないからですか?」
毎日楽しいのなら、もう過去にこだわる必要はないはずだ。
「まあ、ある意味、今が一番楽しいな。
お前が毎日、阿呆なことばかりやってくれるから」
いや、待て、と思った。



