ケダモノ、148円ナリ

「よかった」
とほっとして言うと、なにが? と問われる。

「いや、窓を叩き割って入るのかと」

 さっきの警戒しながら入る様子を見てたら、そんな気がしていたのだが。

「まあ、センサーが動いてても入れる。

 そこの……」
と東側を指差す貴継に、

「いや、説明してくれなくていいです」
と言った。

 別に犯罪の手法を聞きたいわけではない。

 玄関を入ってすぐのロビーも天井が高く、中央奥に緩やかにカーブする階段があって、まるで劇場かなにかのようだ。

「すごい建物ですね」

「ひいひいじいさんの代から住んでた俺の家だ。
 今は違うが」

 西側の応接間のようなところに行くと、いい感じに色褪せたソファや趣味のいい調度品があった。

 貴継はソファに腰掛け、ランプを取り出す。

 まだ暗くはないので、火はつけなかった。

 夕暮れの光の中、高い天井を見上げると、シャンデリアには蜘蛛の巣が張っていた。