美術館かと思った……。
高い門に広い庭。
ゴシック建築のような造りの屋敷。
そこに周囲を見回し、赤外線センサー等が動いていないことを確認して入っていく貴継は、さながら怪盗のようだった。
私はなんだろう。
……挙動不審な下っ端か? と思っていると、
「意味もなくキョロキョロするな。
怪しまれる」
と言われる。
「いや、怪しいですよね、私たち」
と言いながらも、立ち止まるわけにもいかず、明日実は貴継が開けてくれた門を潜った。
「あの……これって、不法侵入では」
そう言いながら、草の生えた石畳の道を歩く。
ヨーロッパ風な庭はかなり荒廃していた。
貴継はその様子を見、渋い顔をして呟いている。
「一度手入れを怠ると、あとが大変なのにな。
ま、いずれ更地にして売るのなら関係ないが。
こっちだ、明日実」
と手招きする貴継は、この家の鍵を持っているようだった。



