ケダモノ、148円ナリ

 




 美術館かと思った……。

 高い門に広い庭。

 ゴシック建築のような造りの屋敷。

 そこに周囲を見回し、赤外線センサー等が動いていないことを確認して入っていく貴継は、さながら怪盗のようだった。

 私はなんだろう。

 ……挙動不審な下っ端か? と思っていると、

「意味もなくキョロキョロするな。
 怪しまれる」
と言われる。

「いや、怪しいですよね、私たち」
と言いながらも、立ち止まるわけにもいかず、明日実は貴継が開けてくれた門を潜った。

「あの……これって、不法侵入では」

 そう言いながら、草の生えた石畳の道を歩く。

 ヨーロッパ風な庭はかなり荒廃していた。

 貴継はその様子を見、渋い顔をして呟いている。

「一度手入れを怠ると、あとが大変なのにな。

 ま、いずれ更地にして売るのなら関係ないが。

 こっちだ、明日実」
と手招きする貴継は、この家の鍵を持っているようだった。