ケダモノ、148円ナリ

 彼の妻と娘がこちらに向かい、頭を下げてきた。

 自分たちに嫌味を言ってるのがわかっていて、急かしてくれたのかもな、と思いながら、明日実も頭を下げる。

 二人の孫と手をつなぎ、黒崎は去って行った。

「いいおじいちゃんですね」
「そうだな」

「私もあんな風な家族になりたいです」

「そうか。
 だが、通りすがりの休暇中の社員にケチをつけるような人間にはなるなよ」
と渋い顔で、やはり黒崎を見送りながら言っている。

 平気そうな顔をして応対していたが、まあ、嫌味を言われて平気な人間も居ないか、と思った。

「黒崎さんは、社長と会社が大好きなんですね」

「あの世代の人は、ああいう人が多いからな」
と言いながら、貴継はなにか考えているようだった。