ケダモノ、148円ナリ

「すまんな」

「これ、コツがあるんですよ。
 こうして、上下から押さえて。

 あら、堅い」

「どうしたいんだ、貸してみろ」
と言った貴継が、今、明日実がやっていた要領で力を加えてみる。

「開いた」
と貴継は雅哉とかいう子どもにそれを渡していた。

「ありがとう、おにいちゃん」

「すまんな。
 ありがとう。

 いや、ともかく、私は君を……」

「貴方ー、もう行きますよー」

 孫のお守りで疲れている妻に呼ばれ、

「わかった。
 今、行くー」
と黒崎は振り返り言っていた。

「何処まで話したかな。
 おお、認めんからな」

「お父さん、早く、車開けてー。
 オムツもう車の中のしかないのー」
と今度は娘が叫んでいる。

 なんだか、せわしないな、と明日実は苦笑する。

 溜息をつく黒崎に、
「大変ですね、お休みも」
と笑うと、

「君らも子どもや孫が出来たらわかるさ。
 ま、大変なのも楽しいことだよ。

 まあ、お幸せに。

 ……仕事のことはまた別だがね」

 じゃあ、と手を挙げ、行ってしまった。