夢の中。
「この指輪がぴたりとはまったものが、王子の妃となれるであろう」
そう書かれた指輪がダンジョンに落ちていた。
手にしている松明の明かりの中、明日実は、あの指輪を拾い上げる。
こ、これをはめられたものが顕人おにいさまの花嫁に。
だが、明日実はそれを手に迷う。
そんなことで花嫁が決まっていいのだろうかと思ったからだ。
でも、このまま置いておくと、別の誰かが指にはめてしまうかも。
そう思ったとき、
「早くはめた方がいいよ」
そんな声がして顔を上げた。
会社のIDカードをさげた小人が立っている。
いや、小人の格好をしているのだが、まったく小人ではなく、顔は大和の顔だった。
「やめた方がいいですよ」
反対側から声がして、振り返ると、狼の毛皮を着た大きな笹原が、狭い洞窟の中に、少し背を屈め立っていた。
ええー? と迷っていたが、早く早く、と大和に急かされ、指輪をはめる。
すると、何処からともなく、よく聞く高笑いが聞こえてきた。
「かかったな、明日実っ!」
洞穴の一部が崩れ、外の日差しが差し込む。
眩しさに目を瞬かせながら、よく見ると、指にはまったそれは顕人がくれた指輪とは違っていた。



