ケダモノ、148円ナリ

 




 夢の中。

「この指輪がぴたりとはまったものが、王子の妃となれるであろう」

 そう書かれた指輪がダンジョンに落ちていた。

 手にしている松明の明かりの中、明日実は、あの指輪を拾い上げる。

 こ、これをはめられたものが顕人おにいさまの花嫁に。

 だが、明日実はそれを手に迷う。

 そんなことで花嫁が決まっていいのだろうかと思ったからだ。

 でも、このまま置いておくと、別の誰かが指にはめてしまうかも。

 そう思ったとき、

「早くはめた方がいいよ」

 そんな声がして顔を上げた。

 会社のIDカードをさげた小人が立っている。

 いや、小人の格好をしているのだが、まったく小人ではなく、顔は大和の顔だった。

「やめた方がいいですよ」

 反対側から声がして、振り返ると、狼の毛皮を着た大きな笹原が、狭い洞窟の中に、少し背を屈め立っていた。

 ええー? と迷っていたが、早く早く、と大和に急かされ、指輪をはめる。

 すると、何処からともなく、よく聞く高笑いが聞こえてきた。

「かかったな、明日実っ!」

 洞穴の一部が崩れ、外の日差しが差し込む。

 眩しさに目を瞬かせながら、よく見ると、指にはまったそれは顕人がくれた指輪とは違っていた。