マイノリティーな彼との恋愛法



久しぶりに見たヤツの笑顔と、久しぶりに聞いた測量への愛と、不覚にもキュンとしてしまった自分。
乙女ひばりが作動しそうになったので、慌てて押し込む。


神宮寺くんと話してるとイライラするし、理解出来ないこともあるし、人を怒らせることを平気で言ってくるし、腹立たしいと思うことは多々ある。

それでも、この人を見ていたいと思うのはなんでだろう。

恋愛は理屈じゃないのかな。

理想のタイプからかけ離れていたとしても、気になるのは普通のことなのかな。


もう、よく分からない━━━━━。









「い、いててててて!!」


一瞬、意識を失った。
ほんの一瞬だと思っていた、私は。

ものすごい頭痛で目が覚めて急いで顔を上げた時、目の前には神宮寺くんの顔がどアップでドンと現れた。


「うわっ!」と仰け反ったら、ぐらりと後ろに倒れかける。
寸のところで神宮寺くんが背中を押さえてくれて、倒れ込まずに済んだ。


「あ、ありがと……。ここ、どこ?」

「ったく、この酔っぱらいが。酔いどれ都ですよ」

「いま何時?あー、頭痛い」

「日付変わってます。頭痛がするのは脱水起こしてるからだと思いますよ。水飲んでください」


差し出されたお冷を飲んだ私は、迷惑そうな神宮寺くんの隣で心配そうにこちらを見ている女将さんに気がついた。


「あっ、女将さん!すみません、遅くまで居座って……」

「ううん、いいのよ。飲んでたら急にテーブルに突っ伏して寝始めたっていうから、心配してたのよ〜。大丈夫?」

「…………スミマセン」


やっちまった、飲みすぎた。
日本酒をホイホイと次から次に飲んだせいで、たぶん突然睡魔に襲われたんだ。

店内にはもうお客さんはおらず、私と神宮寺くんと女将さん、それから数人の従業員のみ。

閉店時間はとうに過ぎているのがうかがえた。

コートを羽織った神宮寺くんが、私を急かすようにバッグを渡してくる。もう帰ろうと言わんばかりに。


「迷惑かけてるんだから、さっさと帰りますよ。謝罪は後日きちんとして下さいね」

「あらあら、いいのよそんな謝罪なんて。よくあることだもの」

「女将さん、情けはいりません。この人は学生でもなんでもない、立派な三十路ですから」

「ま、まだ三十路じゃないわっ」

「29も30も似たようなもんだよ」


口論している私たちを女将さんが「まあまあ」と緩く止めに入り、私にペットボトルのお水をくれた。


「これ、帰りながら飲みなさい。少し酔いが冷めると思うから」

「ひゃー、すみません!ありがとうございます」


恥ずかしさと情けなさにいたたまれない気持ちになりながら、席を立とうとする。
ところが、足に力が入らずぐにゃりと膝が折れて床にへたり込んだ。