マイノリティーな彼との恋愛法



『今度の土曜日に、串焼き屋さんに行ってみませんか?』


仕事中なのにスマホを取り出して確認してしまった。間違いなく、その日は柏木さんに食事に誘われていたのだ。

日にちじゃなく、あえて曜日で誘ってきたあたりが柏木さんらしい。
私に変に意識させないようにしたのだろうか。

いずれにしても、毎年なんの予定もなくひとりで静かにさめざめと過ごしていたクリスマスに予定が入っているなんて!
アンビリーバボー!ミラクル!
しかもイケメンと串焼き!

去年の私が聞いたら目を見開いて驚いていることだろう。


でも、どうしても頭から離れない「手繋ぎ事件」。
神宮寺のヤツ!神宮寺のヤツめっ!(もう呼び捨て)

『どうぞ、ご勝手に。春野さんは誰のものでもありませんから』

と、冷たく言い放った彼の顔が思い出される。


その直後に手を繋いでくるなんて、私が顔を青くしたり赤くしたりして慌てているのを見て、内心笑ってるのかも。

こいつ本当に男っ気が無いんだな、って。


あの男ならありえる!!


「春野さんはイブは柏木さんとデートですか?」


結局、神宮寺くんのことを考えてしまっていた私に、横から風花ちゃんが尋ねてくる。
ハッと我に返って、急いでうなずく。


「あ、うん。まぁ、デートっていうか食事する約束はしてたけど」

「いーなー!順調ですね〜」

「いやいや全然」

「ちゃんと上下セットの可愛い下着つけていって下さいね!」

「…………………………付き合ってないんですけど」


私の弱々しいツッコミは彼女の耳には届かず、どうやら妄想タイムに突入したようなのでそれ以上は言えなかった。