もしも、もしも、ね。



選抜リレーは、一人100メートル。校庭の半周分。

アンカー、つまりユウだけは一周を走る。200メートル。


だから、控え位置は私と望果が一緒で反対側にユウと佐久・・・っとと、准君。

分かれるとき、四人で真ん中に手を合わせた。

「絶対勝つぞーっ!!」って。

柄にもないくらい緊張と楽しみとで胸が高揚していた。



青空に響くピストル。

一声に走り出す選手。

会場を盛り上げる音楽。

わき上がる応援の声。

先生も、保護者も、生徒もみんな夢中になっていた。



赤組はスタートからほぼずっと4位。

望果は「ファイトだかんね。」とガッツポーズを見せスタート位置に立ち、

三年生から受け取ったバトンで、

真剣な顔で私の前を走り去った。


最後だ。


私はスタート位置に立つ。

たった一日のことだけど、なんだかすごく長くて。




『私たちが勝つしか、ないっしょ。』

『頑張ろうな。』



望果。 准君。



『勝とうな。』

『大丈夫だよ。なんとかなるって。』

『やったな。』



ユウ。



来年四人同じクラスかわかんないもんね。

だから、これがラストチャンスかもしれない。

勝ちたいね、一緒に。



「桜野・・・ッ!!」



必死な声と一緒にバトンを受け取って、私は走り出した。