もしも、もしも、ね。



「そう言うと思った。」

「はい?」



音符マークでも付きそうに跳ねる望果の声音。

脱力した間抜けな私の声。

私に突きつけられる一枚の紙。


上に大きく明朝体で「選抜リレー順序」とある。


下には表があり、手書きで名前があった。

そして私たちのクラスを見、今度は私が目を丸くする。



「望果!?」

「えっへへー。私の勘大当たりっ。実は最初から、このつもりだったんだよね。」



そこにある名前の順序。

宮崎 望果。  佐久間 准。  桜野 暁里。  篠田 裕哉。

ってことは、何?

選抜リレーは、何が何でも私はユウにバトンを渡すことになってたわけ?



「ま、結果オーライでしょ?頑張ってよね。暁里。」



ポンと肩に乗せられる手。

ユウとは全然違う白くて細い指。

赤組だからと深紅を塗られた爪。

やっぱ何にもならないよな。と自分の身体を分析して首を傾げた。





生徒席に戻って、佐久間君とユウにそのことを伝える。

すると、なぜだか佐久間君はすごく悔しがって。

「認める代わりに俺のことは准な。」というめちゃくちゃな交換条件。

よくわからないまま准君と呼ぶことになって。


一方ユウは満足そうな笑顔。

「頑張ろうな」って、二人三脚のような笑顔。

それになんだかほっとしてしまって、望果に言ってきてよかったと改めて思った。



どうやら、もう一つのもやもやも解消されそう・・・かな。