もしも、もしも、ね。



私とユウのコンビネーションは、ばっちりだった。

50メートル走ってんじゃないの?的スピードで行ってもトラブルは起きず。

なんだかんだ言って、1位を取れた。

1位の旗に向かいながら、私たちを結ぶはちまきをほどく。

すると、さっきまでの動悸が嘘のように収まって。

夏かと思うほど熱かった身体が、秋風のおかげで涼しくて。



―――やっぱ緊張と、ユウの体温のせいか。



なんて思ってた。





そして、決めたの。

ユウの「やったな。」って笑顔を見ながら。






私は本部の親友の元に向かう。

すると、すぐさま「さっすがーっ!!」と抱きついてきて、

「よかったね。」「すごかったよ。」と矢継ぎ早に褒めまくられる。

ホッペちゅーまでされかけた所を必死に止めながら、私は彼女の名を呼んだ。



「望果。」

「ん?」

「お願いがあるの。」



息を大きく吸って、吐く。

そして望果のアーモンド型したブラウンの瞳を見ながらはっきりと言った。



「私と、順番入れ替えてくれない?」



選抜リレー。

なんだかんだ、選抜リレーもユウにバトンを渡すのは望果になっていたのだ。

二人三脚で自信がついた。

出来るかもしれない。ぶっつけ本番だけど。



望果は、目を丸くした後、連続して瞬き。

それから、いつもの悪戯調子のように、にぃっと笑みを見せた。