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まったく。
「そのせいで」というべきか、「おかげさまで」と皮肉を込めるべきか。
とりあえず、ユウの騎馬戦が原因で私の気は完全に逸れた。
ハードル走はとりあえず1位を取ったけど、
今のお昼休みになるまでまったく記憶がない。
頭の中で繰り返される映像は、騎馬戦。
決勝の、大将戦。
あのとき、ユウは―――
「なんだよ。」
校舎内、二階廊下、突き当たり。
私とユウはそこにいる。
私が引きずり込んだのだ。人気がないところに。
目線も合わせないユウは、相変わらずリレーの件なのか。
それとも私の言わんとすることを気づいているのか。
「何のつもり?決勝戦。」
「は?」
「篠田、わざと取られたでしょ。」
私の角度だから見えたのか、よくわかんないけど。
佐久間君やキャピキャピ軍団は気づいていなかった。
確かにユウは一瞬相手の手を止める力を緩めたんだ。
それで取られておしまい。
あれがわざとなら、校庭でのあの“無表情”も頷ける。
追及するために冷静で。
でもどこか私も悔しくて。なにより怒っていて。
呼び方が「篠田」に戻っていることなんて、気に留めなかった。

