もしも、もしも、ね。


あまりにもあっさりとした表情と口調。

男子達はあんなに「騎馬戦ーっ!!」ってこっちが引くくらい盛り上がっていたというのに。



「寂しく・・・ないの?」



自分一人、輪に入れないことが。

人からの何か圧力のようなもので、入れないのが。



「べっつにー? 俺、平気だけど?」

「どうして?」

「ほら、俺ってあんまり学校来れねぇじゃん?

だからさ、こーいう行事出れるだけで、十分楽しいわけ。

あいつらと一緒に勝ったり負けたりで一喜一憂できるだけでいっかなーって感じ。

一個ぐらいの競技、ちまちま気にしてらんねぇよ。

ま、何より裕哉が“ぜってぇ勝つ”って約束してくれたしさ。」

「O型?」

「O型。・・・って、桜野。人の話聞いてた?」



聞いてた。聞いてましたとも。

だからそのおおざっぱさと大らかさがO型かな?と連想させたんじゃないですか。


っていう説明は、飲み込まれました。

え?理由?

簡単簡単。



「あっれぇ?佐久間ぁ、騎馬戦出ないのぉ?」

「あ、ホントだ。佐久間がいるしぃ。」

「佐久間ぁ。」

「佐久間ぁ。」



とまあ、あの「裕哉ぁ。」グループがね、佐久間君にくっつきだしたからです。

秋とはいえ太陽と運動で汗びっしょりの中、口調も動きもべたつくこと。

なんだかまた熱くなってきて、近くにあったうちわで身体を扇いだ。



「あぁ。桜野さんじゃぁん。」



げ。

飛んできた火の粉(むしろ悪魔の槍?)に一瞬顔をしかめる。