もしも、もしも、ね。



「嘘・・・。」

「嘘じゃねぇし。・・・って言っても今ままでの関係考えると笑えねぇな。」



呆然と呟く私と、苦笑するユウ。

私は笑うゆとりなんてなくって、ただ首を横に振った。



「だって、私付き合い始めたとき本当にユウのこと嫌いだったんだよ?」

「知ってる。」

「私学校で言われるほど優等生じゃないし、劣等感強くて、わがままで生意気で、素直じゃなくて!」

「それも知ってる。」

「ヤキモチだって妬くし!顔だって悪いし!!それにユウにひどいこといっぱい言っ・・・ッ!!」



遊園地のときみたいに、ユウは私の言葉を遮った。

けれど、今度はユウが私をぎゅっと抱きしめたから。



「知ってる。暁里の悪いところもいいところも、性格も全部分かってる。」

「!」

「それでも暁里がいいと思ったんだ。それじゃ、駄目?」



ユウの右手が私の頭をぐっと押して、彼の肩に頭が埋まる。

硬い胸板、暖かい温度。ほんの少し、早い鼓動。

頭から振ってくる声は柔らかくて慈愛に満ちていて、

言葉も優しく私をくすぐった。