もしも、もしも、ね。



ど・・・どうしよう。

そう思いながら、必死に引きつった笑顔で「何?」と裕哉に向き合う。



「こっち来いよ。」



まっすぐ見つめられ、私は呪文に掛けられたようにしたがってしまう。

ドキドキと、心臓は壊れそうなくらい早く動くのに、

対照的に体はゆっくりとぎこちなくユウの傍に寄る。

恥ずかしくて顔を見れない。

どうにか視線を泳がせていると、



「―――俺と二人きりはそんなに嫌?」



なんて少し悲しげな声が聞こえた。



「そ、そういうわけじゃないんだけど。」



答えた私の声はありえないくらい上擦っている。

「じゃぁ。」と、ユウが言った。



「じゃぁ、俺の目見て。」



そ、っとユウの手が私の手に伸びた。

また心臓がドキンと跳ねる。

熱い。苦しい。体全部がユウを好きって訴えてる。

こんなに私を反応させる人・・・他にはいないよ。



「ねぇ、暁里。」



甘い声はほんの少し掠れてる。

鼓膜を揺らすたびにじんわりと私の心を奪ってく。