声をあげたのはクラス委員の加藤さん。


「みんな梶谷さんの言葉をうのみにし過ぎだよ!!」


「でも、夏希…」


親友である水谷さんが加藤さんの言葉を止めようとしたのか否定しようとしたのかわからないけど納得しているわけではい様子だった。


「そもそも梶谷さんの話が本当かどうかわからない。だって証拠であるはずの録音を聞かせてくれなかった。普通なら聞かせるはず、梶谷さんの芝居だよ!」


水谷さんを振り切り加藤さんはみんなに訴えてるけど、ならどうして尾崎さんは学校を休む必要があるの?


加藤さんの言葉に説得力はない。

私たちの心はざわめいている。


ねえ梶谷さん、貴女の目的は何?私たちに犯人捜しをするようにしむけて、自分では何もせずに私たちに沙耶の復讐をさせようとしているの?

それって親友がすることじゃない。

綺麗ごとかもしれないけれど梶谷さんのやり方は犯人よりも汚い。


そう叫びたいけど貴女はもうここにはいない。だって、このクラスではもう犯人捜しが始まっているのだから。


誰も止められない。


「そういう加藤が犯人じゃないのか?」


「何でよ、私は違う!」


「だって加藤、お前はバスケ部だったじゃん。しかもキャプテンだっただろ?」


後ろの席に座る山本くんが立ち上がり加藤さんを指差しながら詰め寄り疑いの目を向けた。

一人が向ければみんな向けてしまう。

流れに身をまかせて、自分が疑われないように泳いでいく。

今、このクラスで、教室で、主導権を握っているのは大人の先生ではなく生徒の男子だから。


加藤さんはバスケ部のキャプテンだった

今は引退しているけれどバスケが上手いなのは体育の授業でみんな知っているけど決定的に何が欠けるような気がする。


「誰も違う!」


沙耶と席が隣だった内海さんが涙目で私達に訴えた。


「誰も違う、もうやめよう。疑いを向けあっても解決なんてしないよ」


このままだと梶谷さんの思う壺。


「内海、そんな事できるるかよ!このまま何も無かったかのように受験できねぇよ!」


「俺たち男子はさっさと解決して受験に集中したいんだよ!」


内海さんに反撃する男子だけど、内海さんは強気だった。


「受験受験て言いながらも犯人を捜しだそうとしてるくせによく言うよ!」