多分、佐藤さんが思ってる通りで正しいと思う。


私は今年の夏に親友である沙耶が“事故”で亡くなってしまった事をみんなは覚えているよね。


クラスメイトの沙耶を。


忘れるはずがない。今でも窓側の後ろから二番目の席の沙耶の席に花が置かれているのだから…。


私にとって沙耶は幼い頃からの親友で私に無いものを沙耶は持ち、沙耶に無いものを私が持っていて、嬉しい事や悲しい事を一緒に分かち合える仲だった。


時には喧嘩もしたけど、喧嘩するほど仲が良いって事はすぐに分かった。だってすぐ仲直りするから。


まぁ、従姉妹だからって理由もあったんだけどね。私と沙耶が従姉妹だって事はみんな知ってるよね。


身内である沙耶が亡くなり、私は一時期悲しさでいっぱいで

ろくに食事も摂らず部屋に篭り学校を休む事が多くなって、うつ病になりかけたけど

クラスのみんなの励ましのメールとかで何とか立ち直る事が出来て、また学校に通えるようになったから、みんなには感謝でいっぱい。

迷惑をかけて、ごめんね。


でも悲しさを紛らわす事は何をどうしても叶わないず、紛らわす事なんて出来なかった。


休み時間、いつも隣で喋っていたはずの沙耶がいなくて私の中に空白が出来てしまったかのようだったけど

でも、その感情に負けずに私は沙耶と楽しく過ごし沙耶が卒業できなかった、この中学を卒業して

そして沙耶と通いたがっていた桜坂高校を受験しようと心から決める事が出来たんだよね。


「梶谷、なら…何で転校すんだよ」


そうだよね。

私が言ってる事と矛盾してるもんね。


山本くんが疑問に思うのも仕方ない。


沙耶の親友として、従姉妹として、転校する事は間違っている事になる。


両親ともよく話し合った。


でも沙耶が亡くなったのが、本当に“ただの事故”なら私は転校なんて考える事はなかった。


「ちょっと、梶谷さん何を言って…」


雪村先生は慌てたように私の言葉を遮ろうとしたけど、そんな事は私が許すはずがない、


「雪村先生、私の話を止めないで下さい。クラスメイトであるみんなと話せるのは今日が最後なんですから」


威圧感を出すかのように鋭い目つきで雪村先生を見ると、雪村先生は口を閉ざし一歩下がった。