受験校へ願書の提出日

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私は誰よりも早く桜坂高校に行き願書を提出した。


桜坂高校を受験するのが学年で私だけで良かった。


同伴者がいたら梶谷さんに会う事はまず出来ないだろうし向こうにも気づかれたら逃げられるかもしれない。


梶谷さんの事だから逃げる事はしないと思うんだけど…


「梶谷さん、どの制服だろう?」


梶谷さんは今どんな制服を着ているのがわからないのが少し痛手。


高校の近くのカフェに入りカフェモカを注文し、教科書を広げて、あたかも勉強しているフリをして私は梶谷さんがカフェを通り過ぎるのを待った。


願書を出しに行くにはカフェを通り過ぎないといけない。


沢山の志願者が通りすぎるから、かなり頭の神経を使う。


「お待たせしましたカフェモカです。勉強頑張って下さいね」


「ありがとうございます」


カフェモカを一口飲み私は集中した。


梶谷さんと会って話をして全てを終わらせるんだ。


そう思っているとテーブルの上に置いていた携帯が震えだした。


「電話…しかもヒツウチ??」


非通知なんて勧誘とかだろうから無視するのが正しいよね。


でも何度も震え続ける。


「はぁ~、しつこい!!」


切ってもまた携帯は震える。

何なの?

何かの嫌がらせ??


そう思っていると携帯は鳴り止んだ。

これで、やっと落ち着ける。


「いらっしゃいませ」


誰かがカフェに入って来たんだろうけど私には関係ない。


集中しなきゃ!集中…


カツン カツン カツン


そう思ってもローファーの音が耳に入り、こっちに近づいてきてるのがわかった。


そして…


「久しぶりね、翔子」


!?


声の聞こえた方を見るとそこには


「梶谷さん…」


ずっと会いたかった梶谷朱がいた。