同日 放課後

* *

放課後、私は進路指導室に入った。

梶谷さんが沙耶と約束をしていた桜坂高校のパンフレットがないか確かめるためだったけど私の他にも誰かいた。


「日比野か」


「…蒼井くん」


同じクラスの蒼井くん。

ぶっきらぼうなところがあるけど根は優しいくて静かながら女子から人気がある。


そして沙耶の死の第一発見者で救急車や警察や先生達を呼んだりもしたらしい


現場に居合わせた生徒達が怖くて動けない中、蒼井くんは冷静に行動していたみたい。


「日比野も受験校、変更するのか?」


「日比野も…って事は蒼井くんも?」


「まぁな」


そう言いながら蒼井くんは高校のパンフレットを探し出した。


「今頃さ、受験高変更するとか普通はないよな。親と喧嘩したか?」


「共学から女子校だから余計に喧嘩しちゃった。お母さんの母校を受験する予定だったからさ」


「女子校って…桜坂か?」


「…うん」


親と喧嘩してしまうのは仕方ない


願書を出しに行くのは二ヶ月後


お母さんの母校である共学志望だったのに急に女子校に行きたいと言った時のお父さんとお母さんの驚き様は今でも目に焼き付いているぐらいだ。


女子校は人間関係がややこしくて怖いところって、お母さんは思っているみたい。


全ての女子校がそういうわけじゃないから否定も肯定も出来ない。


確かに女子校は特殊な環境かもしれない


女子には必ずグループが出来る。

誰がリーダーで誰が権利を持っていて誰が主導権を握っているのかを見極めて隙があれば手綱を奪う奴もいる。


実際にそうかわからないけど。


志望校の変更理由は色々考えて適当に誤魔化した。(制服が可愛いとか校舎が綺麗だとか大学の進学率が良いとか)


両親に言えるはずがない。

本当の目的を。


そんな目的で受験校を変えるなんてふざけるな!!って怒られるに決まってる


「なぁ日比野」


「何?」


「梶谷が言っていた犯人。三人の内の一人が加藤だと思うか?」


いきなり加藤さんの話になって、つい持っていた桜坂高校のパンフレットを落としそうになった。


「わ、わからない。でも私からしたら加藤さんは違うんじゃないかって思う」


「…そうか」


「蒼井くん、何でそんな事を聞くの?」


と次は私から聞いたみた。


「お前は加藤のいじめに加わってなかったから」


「でもそれは蒼井くんも同じでしょ?」


私たちはただの傍観者。