今年の七月に沙耶ちゃんが亡くなった。
忘れられない。
忘れる事なんてできない!
非常階段から裏庭へと落ちていく沙耶ちゃん姿。
まるでスローモーションのようだった。
バタンッ!と大きな音をたてて裏庭で真っ赤な血を流している沙耶ちゃん
非常階段を見れば沙耶ちゃんを見下ろしている二人の表情は罪悪感とかを感じさせないぐらい真顔だった。
死んで当然って顔をしていた。
だから、私は悪くない。
違う…違うもん!悪いのはあの二人。
私は悪くないもん。
なのに、なのに梶谷さんは終業式で堂々と私の事を見て言った。
あの冷徹な瞳が頭から離れない。
梶谷さんが言ったヒントで大抵の人が私に気づいていた。
私の顔は真っ青になり体が皆に伝わるぐらい震えていたから。
やめて、梶谷さん!
私から居場所を奪わないで!
そう願ってのも叶うはずもなく
私は居場所を失った。
三学期から私は今まで居場所としていた学校を休んだ。
三学期の授業は受験に関係ない。
だから休んでも問題ないのにドア越しからお父さんとお母さんの罵声が聞こえる。
「りな!いつまで学校を休むつもりなの!いい加減部屋から出てきなさい!!」
「学校を休むんじゃない!りな!!」
学校は私の居場所だった。
でももう居場所じゃない。
なら、私の居場所は何処か?
それは、私の部屋しかない。
自分を守れるのは自分の部屋だけ。
「なんで…っ…何で、私がこんな思いをしないといけないの?」
私は何もしてないのに…沙耶ちゃんを殺したのはあの二人なのに。
私がこんな思いをしているのに、あの二人は今も普通に何気ない顔で学校へ行っている。
…許せない。
私が全部話したらあの二人だって!!
全てが終わる!!