「あのさ、茉依。」

「ん?」

水を飲みながら、うちの声に反応する茉依。

「昨日ね、澄さんが、冬休みの遠出、キャンセルしたいってメールが。
 うちたちが二人っきりになれるのって、教科連絡の時か、長期休暇の遠出しかないと思ってるから...
 すごい、ショックでさ。
 ・・・嫌われちゃったのかな?飽きられちゃった?」

澄さんは、そんな理由で断るような人じゃないと、もちろんわかってはいる。

でも、順調に進んでいた計画が、何の前触れもなしいきなり中止になったら、いやでもマイナスな方に考えてしまう。

「え?何言ってんの?
 ただ、どうしても理由があったんだと思うよ。」

大人の事情ってやつ?と茉依が言った時、ちょうど料理が運ばれてきた。

「お待たせいたしました~。
 こちら和風ハンバーグと、カレーになります。
 ごゆっくりどうぞ~。」

茉依の前に、和風ハンバーグ、うちの前にはカレーがおかれた。

「「いただきます」」

ご飯を食べながら、さっきの話に戻す。

「茉依の幼馴染さんでも、そういうことする?」

「・・・っえ、ああ。するんじゃないかな。
 よく分からないけど、やっぱり言えないけどやむを得ない事情、っていうのはあるものだからね。
 大人になれば、なるほど。」