夏休み、茉胡とデートをしたあの日。

茉胡に聞かれた内容に、俺は口どもってしまった。

そのあたりから、茉胡と連絡が取れない日が続いた。

俺は何度も何度も電話、メールをしたが、連絡はつかず。

でも新学期に入ってからは、テストや行事が近いこともあって、連絡が前よりできなくなってしまっていた。

俺は、焦っていた。


デートをしたときの、茉胡のあの笑顔。

俺を見るときの目、口、表情。

全てが愛おしくて、幸せだったあの日。

思い出すだけでも、幸せな気分になれた。

でも、今はそんなこともできない。話すこともできない。

そんな状況に、精神的にはかなり参っていた。


「・・・はぁ。」

放課後、数学職員室の中で、俺のため息が響き渡った。

前より、連絡ができなくなったとはいえ、毎日メールや着信は入れていた。

折り返されることのないスマホの画面を見て、またため息が出る。

「・・・はぁ。俺はどうすればいいんだ?」

茉依への気持ちと、茉胡との今の状況。

正直俺の中は、もうパンパンだった。


コンコン———————

「はーい。」

テンションは上がらないが、今は仕事中。

叩かれたドアの向こうにいる生徒に、先生として向き合わなければいけない。