彼女がそこに来るのは、不定期で。

前来たのは、確か...10日ほど前だったと思う。

最近、決まって5:00のチャイムの後に校舎裏に来て、30分ほど寒い外から第一体育館をのぞいていた。

中で見ればいいのに...。

そう思うけど、もちろんそんな声なんてかけられない。

たぶん、彼女は俺のことを知らないだろうし、なぜか俺の周りにはいつも女子がいる。

ほら今も...


———————シュパッ!

『きゃああああああ!!!!』

俺の放ったシュートが弧を描き、ゴールに吸い込まれた瞬間、ギャラリーから体育館に声が響き渡った。


「佐伯、お前今日も絶好調だな。」

「あ、まあ...。」

キャプテンにそう声をかけられ、軽く返事をする。

それは、彼女が見てくれているから。

もちろん、俺のことをみているわけじゃないとは思うが、それでも彼女の視線の先に俺が映るなら、それはかっこいい俺でいたい。


だって、彼女は、



————————俺の好きな人だから。





ピーーーッ—————

「はい、じゃあAチーム休憩、Bチーム続行でCチームコート入ってー!
 すぐやるよー!」

2年のマネージャーのてきぱきとした声に促され、俺はコートを出る。
一応、レギュラーの俺は、Aチームでいつも練習をしていた。