本当にそんな日はくるのかな?

心と心が重なり合う日は、いつですか。


「なんなの…あれ…」



沙紀が小さく声を漏らす。



「何か意味わかんねぇよな。ごちゃごちゃしてるよな…」



斉藤くんの言葉が深く胸に突き刺さる。
その瞬間、一本の糸がぷつんと切れ、瞳から次から次へと涙が零れていく。


涙腺が切れたのだろうか。


「こ…小林?大丈夫かよ?」



今日は泣かないと思ったのに…。



「ねぇ、百合?昨日鈴木くんから連絡きた?」


沙紀の手があたしの頭を撫でていく。
仔猫を扱うように。



首を横に振り、『来ていない』と意思表示する。



「返ってきてねぇの?」



「木田くんには教えてもらったんだけど…。メールしても返って来なかったの」



改めて言葉に出して言うとさらに辛くなった。

優くんの心にはあたしなど存在していないのかもしれない。



「…優は何がしたいんだろ?」



斉藤くんが頭を掻きながらため息まじりに言う。あたしにも分からないよ。


知りたいよ、見たいよ。
優くんの心の中を…。




醜い感情、なくなってしまえばいいのに。



あなたを愛するから、醜い感情が芽生えしまう。


あたしは届かない想いを、涙に変えて流すの。