気が付けば、手を差し伸べていた。 彼女が俺のマンションに住むようになってから、俺の中で何かが変わった気がする。 部屋なんて寝に帰るだけの場所だったのに、いつのまにかそうではなくなっていて。 年末は、半ば家に帰るために仕事をこなしていたようにさえ思う。 休日も会社に行かず、家で仕事をしている自分が居た。 長い間、仕事が一番だった。 3年前、名古屋に出向と言われた際もキャリアが積めると喜んだ。 もし今出向命令が出されたら躊躇してしまうかもしれない。 「あ、課長次ですよ」