__ユキ、ユキってば。


あいつの声が聞こえて、目を覚ます。

目を開けると一面真っ暗な世界。

どこかで見た世界。

ここはまさか、夢の中__?


__正解。


さすがユキ、なんて褒めるあいつの声が聞こえる。


あたりを見渡すと、あいつの姿が暗闇の中に現れた。

あいつは眉を下げて微笑んでいる。


お前、大丈夫なのかよ。

あの後、俺のために先生を呼びに行こうとして交通事故に遭わなかったのか?

時間的に、お前が交通事故に遭ったのと同じ時間だったろ?


質問を次々に投げかけるけど、あいつは何も答えなかった。


おい、何黙ってんだよ?

何か答えろよ、なあ?


するとあいつは答えた。


__うんっ、事故に遭ったよっ。


音符を飛ばしていそうな軽やかさだ。

不自然なほどの明るさは、あいつが無理をしていることを証明した。