今日の午後、あいつが死ぬ。

今日の夕方には、あいつが死ぬ。


そんなの、嫌だ。


絶対、助けるんだ。


あいつを、あいつの命を、未来に。

しあわせな未来を、必ず。


そう決めたら、あいつのそばを離れるわけにはいかない。


俺はあいつを探し出すことにした。

ナースステーションで教えられた5階の病室に向かう。

ベッドは置いてあったけれど、あいつの姿はどこにもなかった。


おかしい。どこ行ったんだよ、あいつ。


首をひねって思い出した。


そうだ、この日のあいつは天気がいいからと散歩に出かけたんだ。


あわてて病院の階段を2段飛ばしで駆け下りる。

病院の外のひろばに到着するころにはすっかり息が切れていた。


荒く息をしながら、あいつの姿を探す。

すぐにその姿は見つかった。


看護師と談笑しながらゆっくり散歩するあつを見つけた。


あいつが、あの日のあいつが、

動いてる。

生きてる。

それだけで嬉しくて、嬉しくて。


俺はもう衝動を抑えきれなくなった。