浴室から出て着替えを済ませると部屋に戻る。

時刻は午前4時。

何するにも中途半端な時間で、眠る気にもなれない。

何をする気になれないときは、決まってアルバムをめくる。

そしてあいつのことを思い返して、感傷に浸るんだ。

ほんと、女々しいよな。

一枚、また一枚、ページを捲っては、あいつの笑顔を目に焼き付ける。


…仮に、夢に出てきたのが、あいつだったとして。

あいつは何のために現れた?

あいつは何を伝えたかった?


なあ、教えてくれよ。

会わせてくれよ、あいつに。


もう一度だけでいい。

もう一度だけでいいから。


あいつが何を伝えようとしたのか、何のために現れたのか。


指輪だって渡せていないんだ。


お願いだ、一度だけでいいから。


あいつに、会いたい。


視界が滲んで、あいつの笑顔が見えなくなっていく。


嫌なんだ、これっきりなんて。


もう二度と会えないなんて、

指輪も渡せないなんて、


そんなの、絶対に嫌だ。


ぽとり、涙がこぼれた。


その瞬間、眩い黄色の光が溢れた。

あまりの眩しさに、腕で目を覆う。








『ユキ』




光の中で聞こえたのは、紛れもないあいつの声。






__なあ、もしかして。


お前が俺を導いているのか?