遠ざかる中、「写真撮りましょうか」というおばさんの声が聞こえた。


「ほら、ユキトくん、アカリ、もうちょっと寄って」


おばさんの明るい声が響く。


「じゃあ、行くわよー」


遠ざかれば遠ざかるほど、雑踏のせいでおばさんの声も、俺の声も、あいつの声もどんどん聞こえなくなっていく。


それなのに。



「はい、チーズ」



ぱしゃり。



響いたシャッター音はやけにはっきり聞こえた。



そしてその瞬間また眩しい黄色の光があたりを包んでいく。



目を開けていられなくなって、俺は目を腕で覆った。