中立者〜元姫お助け相談所〜

｢さて、最後に…｣


｢もう、いい
もうやめてくれ｣


総長の男が涙を流しながらそう言った


｢何が宜しいんですか？
貴方達は何事もなく終わることが出来ますし、いいかもしれません
しかし、私は貴方達に雇われたわけではありません
私を雇ったのは愛珠さんです
あの方がそう言っている以上、私は続けます
貴方達がどんな罪を犯したか分かっていただけるまで

それが愛珠さんからの要望ですから｣


獅子搏兎は言葉を失い、項垂れていた


こんな女を選んでしまったまでに大切なものを失い絆さえも無くなってしまった


この中に何人、愛珠を信じていた者がいるか


この中に何人愛珠に許しを求め頭を地面に付けた者がいるか


｢貴方達は何を見て何を感じてこの女を信じたのでしょうか、何故愛珠さんを見捨てたのでしょうか

貴方達は何故、愛珠さんを獅子搏兎から逃したのでしょうか｣


貴方達は、誰を守りたかったのか

それは、愛珠さんだったのでは無いでしょうか


｢貴方達が本当に守りたかったのは、愛珠さんでは？｣


私がそう言うと須藤姫奈が｢そんなの嘘よっ｣と騒ぎ始めた


誰一人、何も言わない


｢獅子搏兎の意味をご存知ですか？

どんな事にも全力で取り組むライオンの姿が元になっているそうです
貴方達は、獅子搏兎のような人になれていたでしょうか｣


｢俺達は、間違ってたのか…？｣


それが分かったなら間違いを認めてやり直せばいい


それが自分の望んでない結果になったとしても、後悔しないように行動したならいつかは笑える日が来るから


｢貴方達が行動しない限り、未来は変わりません
守りたかった人を悲しませたまま終わりにしないでください｣


貴方達なら、変われるでしょう？


｢復讐は完了しました
後は貴方達がどうするかです

それでは、須藤姫奈を引き渡さなければならないので失礼します｣


そう言い残し、外に出て須藤姫奈を裏に待機している警察に引き渡した


これで今回の仕事は終わりを迎えた