中立者〜元姫お助け相談所〜

つい最近潰したチームの倉庫の中に入るとヒールの音が響いた


その音は私の足元から鳴っているようだ


学校での弱々しく地味な私とは真逆の格好


金髪ロングヘアの隙間から見える右耳にはイエスキリストが磔にされているピアスが一つ、ジーンズ生地の短パンと長袖の黒いニットに合わせたウェッジソールの分厚い7cmヒールが背の低い私を丁度いい身長にしてくれている


獅子搏兎の到着を待っている間に隠しカメラで撮影した証拠映像と写真をDVD化しておく事にした


せっかく手に入れた居場所を失うハメになった須藤姫奈の顔は絶望に満ちている


作業が終わり、ティータイムを楽しんでいると獅子搏兎がやって来たようだ


須藤姫奈を見て大層驚いた顔をしていた


特に総長である男は怒りが目に見えて分かるほど激怒していて今にも私に襲い掛かってきそうな勢い


それをさせない為にも早速このショーを始める事にしましょうか


「初めまして、獅子搏兎の皆さん
さて、今回このような形を取りましたのは…」


「てめぇの話なんざ聞く気はねぇ
その女を返せ」


総長の男に話を遮られてしまった


「…その要求にはお答えしかねます」


そう答えるといかにもエリートな男が前に出てこう言った


「僕達の強さを知ってて言ったんですよね?」


「えぇ、貴方達のお噂はかねがねより聞いております
この地区の中でも上位に入るほどの強い方々だとか…

しかし、私は何の考えもなくこのような行動をした訳ではありません
私の目的は愛珠さんの復讐を代行すること
つまり復讐代行人です

貴方達は愛珠さんをご存知ですね?」


「あの女…

てめぇが何を吹き込まれたのかは知らねぇ
けどあの女を信じない方がいいぜ
あの女は仲間を平気で裏切るような女だ」


「ご忠告ありがとうございます

そう言われるのは分かっていましたが、まずは私の調査書を見て頂いてもよろしいですか?

まぁ貴方達が須藤姫奈さんを信じていらっしゃるのなら、調査結果なんて興味ありませんよね
もし本当に裏切っていないなら、ですが」


そう言って微笑むと獅子搏兎はいかにも怪訝そうな顔で私を見る


「貴方達が知っている事実と私の調査結果は異なる結果となりました
おかしいですね、どちらかが嘘を言っているとしか思えません

貴方達はどちらが嘘を言っているとお思いですか?」


「そんなの、あの女に決まってるだろ!」


「そうですか

では調査結果を報告いたします」


プロジェクターを起動し、壁に映像を映し出す


まず初めに映し出されたのは須藤姫奈の素性


名前、生年月日、血液型、性格、家族構成、両親の職業、素性が分かるもの全てを詰め込んだもの


その次にある男との密会


その男とは敵対関係にあるチームの総長


手を繋ぐ事から始まり、抱擁、キス、カップル御用達のホテルに入る2人が次々と映し出される


続いて須藤姫奈が薬を売り捌いている所


須藤姫奈は黒い噂が耐えない竜崎組の組長の愛娘であり、薬が直ぐ手に入る人物であり警察にも目をつけられていた


今回はこれが決め手となり須藤姫奈を社会的に抹消する事が可能になったのだ


愛珠は涙を流し「みんなが何もされてなくて良かった」と泣いていた


こんな男達のために泣く理由が私には分からないけれど、とにかく依頼者の要望は叶えられた