中立者〜元姫お助け相談所〜

｢こんなの、話と違うじゃないですか！｣


そう言った彼女の顔は怒りで顔が赤く染まっている


｢何がです？｣


冷静にそう問えば、愛珠は膝から崩れ落ちた


｢そんな所に座り込んではいけません
どうぞソファーにお座りください｣


私がそう言うと立ち上がってフラフラとソファーへ近寄った


｢さて、私に何か言いたい事がおありなのでは？｣


一度だけ私の顔をチラリと見て俯いた彼女の肩が小刻みに揺れ始める


｢こんなの、酷い…｣


酷い？


酷いのは貴女を見捨てたあの人達でしょう


｢私は貴女にとって最善の事をしたまでです｣


私のこの言葉を聞いた愛珠が顔をあげた


｢あの人達が悪いんじゃない！
悪いのはあの女なのに！
なのに、なのにっ…｣


また泣き始めた彼女に呆れてしまう


｢そんな甘い事を言っているからこうなったのでしょう？
貴女の仇を取るのが私の役目です
貴女を侮辱した者は全て対象となります

…そんなに彼らが大切なら、何故逃げ出したのですか？｣


｢逃げ出した、？｣


｢そうです、貴女は逃げ出した
そして私に助けを求めた｣


項垂れる彼女に一つの提案をする


｢愛珠さん
貴女がもし今ここで彼らを守って欲しいと言えば、私は守ることだって出来ます
的確な指示を頂ければ私は貴女が望む事をします

全ては貴女が感情のままに助けを求めたからこうなったのです

だから、今度は頭を使っ下さい
そうすれば私は貴女のなすがままなのですから…｣


彼女の前にミルクティーを置き、返事を待つ


｢…彼らは悪くない

でも、後悔させてやりたい

あの女も、あの人たちも…

このまま最後までしてください｣


彼女の目からは強い意志が感じられた


｢…分かりました

貴女の仰せのままに｣


変更がなくて少し安心した


彼らはもう罠に引っかかっているところだから…