コンコン、と扉が鳴った


「はーい」


私がそう言うと静かに扉が開く


「ここに、相談出来る所があるって、聞いて…」


そう言いながらおずおずと入ってきたのは今回の話の依頼人、愛珠(アリス)だ


「そうでしたか…
どうぞ、こちらにお座りください」


そう言ってソファーへと誘導する


「紅茶でよろしいですか?」


そう聞くと「あ、はい」と返事が返ってきた


「ミルクとお砂糖はどうしましょう?」


「欲しい、です」


ここでやっと客人に飲み物を出してもてなすという一連の動作が終わった


愛珠の前に一つと向かいに自分の分を一つ、ミルクティーを置いた


「それでは、お聞かせ願えますか?」


「…実は、」


愛珠の鼻声交じりの呟きをひとつも漏らさぬよう、ノートに書いていく


大事な要点を書き、愛珠が泣きだしてしまった事を終わりの合図とした


「その辛い気持ち、お察しいたします
必ずや私がその方々を真実へと導きますのでご安心を…」


しばらく慰め続け、涙が止まった彼女を見送った



ここまでが3日前の出来事