しばらくしてから、もう1度体温計を脇に挟む。

もしかしたら熱が下がっていて、学校には行けるかもなんて淡い期待を抱いていたから。

1日休むと授業についていけなくなるから、嫌なんだよなー……なんて真面目なことを考える。

ピピッと音が鳴り、俺は体温計の数字を凝視した。

「36.9℃……。よし、行ける」


布団をめくり、朝飯を食べに階段を降りる。


髪をワックスで整えて、制服に腕を通し、マスクを装着。


そして学校に間に合うように時計を確認しながらマフラーを巻く。

時計は7時30分をさしていた。

家を出るとすぐに、ある人物の姿が目に入った。

それは……。