殺人鬼からのラブレター


鉄槌を振り下ろされたような、ドンッ!という大きな衝撃が背中に走った。


「いたっ!」

突然のことに対応しきれずに、身体は前に押し出される。


私はそのままバランスを崩し、遮断棒の下をくぐり抜けて、線路内へと転がってしまった。


「っ...、一体、何が...っ、」

「アイ!」

レンの声に視線を上げると、そこには生と死が分けられた世界が広がっていた。


「あ、嘘。ここって、今....」

自分が今、遮断棒の降りた線路内にいることを確認する。

瞳には、遮断機を潜り抜けてこちらに駆け寄るレンの姿と、恐らく私にぶつかったであろう自転車に跨る同級生の姿が。



前方に、猛スピードでこちらに向かってくる特急列車電が小さく見える。


うそ、私、……死っ……


甲高いブレーキ音が、辺りに木霊する。


〈キキーーーッ!〉

「っ、....」

耳をつんざくようなブレーキ音と、身体が何かに押しつぶされる衝撃が、私を襲っ……