12月1日、17時40分。


「北山! なにボサッとしてんだ、集中切れてんぞ!! 」

「はい、すみません! 」

俺を叱り付ける顧問の怒号が、グラウンドに響き渡る。


「北山先輩が怒られてるとこ、初めて見たわ」

声出しを続ける後輩たちは合間にそんな雑談を交わして、グラウンドでミニゲームを行うレギュラーメンバーを見つめている。


「煩い……」

よく知った奴が死ぬかどうかなんて時に、集中できるかよ。


踏み切りに飛び込んだり階段から転げ落ちたり。

アイの死は、予測がつかない。


静かに静かにそれは背後に忍び寄り、彼女を舞台袖に突き落す。


遠くで、救急車のサイレンが鳴り響く。