「・・・え??」
戸惑うワタシの事などお構いなしに、
「ハイ、腕組み直す!! ハイ、この横断歩道渡る!!」
日下さんは勝手にワタシの手を取り、自分の腕に通すと、ワタシを連れて何の用事もない方向へと歩き出した。
「ちょっと待ってください!! どこに行くんですか??」
ズンズン歩く日下さんに若干引っ張られ気味になり、歩きながら足が縺れそうになる。
「行先言って逃げられたら嫌だから秘密ー。 あ、さっき自分からやっておいてオレと腕組むのが嫌とか言うのもナシね」
日下さんがガッチリ脇を締め、ワタシの腕を挟み込んだ。
「『逃げる』って・・・。 という事は、あまり楽しい場所ではないという事ですね?? さっき助けてもらいましたし、ワタシに出来る事なら協力しますよ」
「さすが察しが良いね、美紗ちゃん。 『楽しい場所じゃない』っていうか・・・聞こえはおそらく悪い。 でも、結果スッとする所」
ワタシに逃げる意志がない事が分かった日下さんは、歩く速度を緩め、ワタシに歩調を合わせた。
聞こえは悪いのにスッとする場所。 ・・・どこだろう。