漂う嫌悪、彷徨う感情。


「美紗らしい答えね。 介護の事で困ったり分からない事があったら、いつでもワタシを頼ってきなさい。 ワタシ、この道のプロだから。 介護の仕事で美紗を育て上げたんだから。 ワタシはもう充分すぎるくらいに美紗に親孝行をしてもらった。 今度はワタシが美紗を助ける。 あの時助けられなかった分、美紗の力になるから。 だから心配なんていらないわ。
介護って、精神的に追い込まれる事があるの。 それは、どんなに円満な家族にも起こり有る事なの。 何の問題もない家庭でも、ワタシたちの様な介護職員の手を必要とするの。 だから、苦しくなったら誰かの手を借りてもいいのよ。 もう、ひとりで抱え込んじゃだめよ。 『苦』は『悪』じゃない。 助けを求める事は悪い事でも恥ずかしい事でもなんでもない。
でも、介護職員へ依頼するにはお金がかかる。 だから美紗も勇太くんもしっかり働くのよ!! 人は誰でも老いる。 『親の為』じゃなくて、『介護の時間を少なくしたい自分たちの為』に働くの。 恩着せがましい考え方はだめよ。 憎しみが生まれてしまうから」

お義母さんは、あの日オレが話した事を覚えていてくれて、一緒に考えていてくれた。

優しくて、力強くて、芯の通っている話。

そうだった。 お義母さんの職業は、ケアマネだった。