「頭なんか下げないでよ、お母さん。 謝らないで。 お母さんは何も悪くないでしょ?? ワタシ、お母さんに気付かれたくなかったの。 助けて欲しいとも思ってなかったの。 気付いて欲しかったら、厭らしく仄めかして匂わせてただろうし、助けて欲しかったら声を出していたはずだもん。
ワタシもね、お母さんがワタシのお母さんで良かったと思ってる。 お母さん、ワタシの事を大事に大事に育ててくれたから。 凄く感謝してるんだよ。
でも・・・だからこそ辛かった。 いじめられていた時、毎日『死にたい。 消えたい』って思ってた。 でも、お母さんがいつも愛情いっぱいに接してくるから、『ワタシが死んだら、お母さんはどうなってしまうんだろう??』って、どうしても出来なかった。 終いにはね、『お母さんがワタシのお母さんじゃなければ良かったのに。 そしたら、今すぐ死ねるのに』って考えた事もあった。
だけどね、何だかんだ言って死を選ばなかったのは、やっぱりお母さんの笑顔が見たかったからなんだ。
お母さんに心配かけたくなかった。 仕事頑張ってるお母さんに、余計な負担をかけたくなかった。 お母さんが喜んでくれるから、家事も勉強も頑張れた。
死ななくて本当に良かった。 あの時、間違った判断をしなかったから、ワタシは素敵な人に出会う事が出来て、結婚が出来る。
お母さん、ありがとうね。 ワタシを生かしてくれて、本当にありがとう」
美紗が微笑みながらお義母さんの手を握った。
そんな光景に、オレの目から涙が零れた。



