結婚出来ないくせに、どうして勇太くんの気を惹きたがってしまうのだろう。 こんなに好きなのに、なんで結婚出来ないのだろう。 どうして勇太くんは真琴ちゃんのお兄さんなのだろう。

どうにもならない事も、明白な答えも分かっているのに、受け入れがたい解答に、いつまで経っても『どうして』と疑問を巡らせてしまう。

自分を納得させられる答えがない事も、諦めるしかない事実も、全部分かっているのに。

だから今度こそ、勇太くんの事には首を突っ込まない。 余計な揉め事も起こさない。

勇太くんを視界に入れない様に、パーテーションから自分の頭がスッポリ隠れるくらいまで椅子を低く下げた。

ちょっと仕事し辛いけれど仕方がない。

こんなに努力しているのに、勇太くんは毎日LINEを送ってくる。

同じ職場にいる限り、ギスギスしたくはない為、スルーはせずに当たり障りのない返事をする。

挨拶は普通に返す。 でも『?』で終わる文章には『すみません』で返していた。

『今何してる??』の返信に『すみません』。 全く会話になっていない。 でも、どう返して良いのか分からない。 だって、楽しい会話をしてしまったら、どんどん諦められなくなるに決まっているから。