「ん、ねぇ?咲ねぇ、あそこに誰かいるよ」




「え?」



吹に促されて土手の下の方を見ると、そこには確かにベージュのコートを着た男の人がいた。



そして、こちらをじっと見ている。



「あの、何かご用ですか?」



「・・・」



話しかけてみるも、男は何の反応もしない。



しかし、しばらくすると



ニタァ



男はそんな感じに笑った。



ゾワッ



途端、私の背筋をうすら寒いものが走った


「ねぇ咲ねぇ、なんかあのおっさん嫌な感じする。かえろ?」



唯もなにか感じ取ったらしく、私の手を引きながら言う。



「う、うん」



私達は早足にその場を立ち去った。



男はしばらくついてきたが、神社の近くまで来るといなくなっていた。