「……わかりません、そんなこと」



本当のことだ。


それに、わたしが困ることなんてお見通しのクセに、わかっていてけしかけるからタチが悪い。



「お前のこと、独り占めしたいって言ったら?」



ーーードキッ


まさかの不意打ちで悩ましげな表情を浮かべると首を傾けてくる。



「独り占めって……っ、わかるわけないじゃないですか……」


「わかれよ?それとも、伝わってない?」


「なっ……何が、ですか?」



わたしが困った顔をすることなど容易く想像出来るクセに、挑戦的な笑みを送ってくる。