口ごもってしまうのはこの悪魔のせいだ。


だって、いつももっと偉そうで傲慢で。


なのに、そんな呆れてるのか怒ってるのか、困ってるみたいな声で惑わすのはズルいのではないでしょうか……。



「怒る?」


不意にわたしの肩から顔を上げる。



「そ、そうじゃないですか……っ、顔が、ずっと怒ってるじゃないですか……」


「気に入らないだけだ。そんなことも、わからない?」



至近距離で囁いた。


偉そうな言葉とは不釣り合いな優美な笑みが迫る。