気が付けば、俺は可憐の手を握っていた。


触れただけで折れてしまいようなほど細い指先。


その指先にいくつもの涙の粒が落ちて行った。


『可憐、神様がいるから、ここにいたのか?』


そう聞くと、可憐は頷いてくれた。


神様に何度も何度もお願いしたんだろう。


助けてください。


どうか、毎日の地獄から解放させてくださいと。


『お父さんはね、とても寂しいんだと思うの。だからあたしが一緒にいてあげないとダメなんだよ』


可憐はまだ自分の父親を守ろうとしている。


その気持ちを踏みにじる気はなかった。


俺は可憐を立たせ、5円を持たせた。


『今度は一緒にお願いをしようか』


俺にできることなんて、このくらいだった。


『何を、お願いするの?』


『そうだなぁ……。可憐の傷の半分を、痛みの半分を俺に分けてもらえますように、かな』


そう言うと、可憐は驚いたように俺を見た。


俺はボロボロとこぼれる涙を手の甲で拭い、ほほ笑んで見せた。


『大丈夫だよ。可憐が痛かったり、苦しかったりするときは、俺も一緒だからね』


そう言って、俺は神様に願いを伝えたのだった……。