「先生、ありがとうなぁ」

「いぃえ、また何時でも診ますから」


はぁ…なんかちょっと疲れたなぁ…
まぁなれないとこでの
生活だし…疲れるのは当たり前か…


「先生~?」

「あ、はいっ」


玄関に行ってみると皐月さんがいた。
何かを持っているようだけど…


「これ、うちの娘から…
『先生にたべてもらうん!』ゆうて、
昨夜から頑張ってたんよ。
食べてあげてぇな?」


そう言って渡してきた弁当箱からは
美味しそうな匂いがしてきていた。

まずいな…ご飯は夜にしか食べないのに
でも…ここで断るわけにもいかない。


「ありがとうございます!
お昼、どうしようか迷っていて」

「そうですか。それはよかった」


その後、帰っていた皐月さんを
見送ってから私はどうしようかと
悩んでいた。
このまま持って帰ってもいいかも…
でも、それがバレたら申し訳ない。


「仕方ない…食べるか」


私は『あまり食べない』というよりは
『身体が食べ物を受け付けない』と
言った方が正解かもしれない。

過去のこともあってか
見ると吐き気が襲ってくる。
でも、なんとか食べようと思いはしたものの…
夜に食べることしかできなかったな… 

私は貰った弁当を一口一口入れていき、
何とか飲み込んだ。
水を飲んでからも変わらない気持ち悪さ…
まだ仕事が残ってるって言うのに…



      ガラガラガラ



入り口が開く音が聞こえ、
私はとっさに眼鏡をかけ、仕事モードに入る。

受付の所に言ってみるといたのは
向かいで寝てるはずの奴だった。


「何かようですか?」