冷たい隠し通路の奥。


暗闇に浮かぶ三つの灯火が、通路の終わりと、セイント城への入り口を示していた。



ここまで来てしまったのなら、後戻りはできない。


先へ行くしか、ない。



「行こう、グリン」


「そうこなくっちゃ~」



私とグリンの足音が、反響する地下。


ゴール地点に近づくと、そこで待っていたのはランプを持った、セイント城に仕えている三人のメイドだった。


こんなところにメイドがいるなんて、聞いてない。


私がオーロラだとバレたら、捕まってしまう!



「お待ちしておりました、オーロラ様」



戸惑っていた私に、三人のメイドがお辞儀をした。


へ?


どうなっているの?


わけがわからなくて、隣のグリンに助けを求めたが、グリンは表情を緩めるだけ。



なぜ、このメイド達が私を待っていたの?


そもそも、なぜ私がオーロラだということを、あらかじめ知っていたの?



「ご足労いただきまして、ありがとうございます」


「あ、あの……」


「お時間がありません」


「ちょ、待……」


「急いで準備をしなくては」


「じゅ、準備?」