「こうやって手を繋いで歩いてると、なんか俺たち兄妹みたいだね」

「……え、きょうだい……?」

「そう。 兄と妹」



……カップルじゃなくて、兄妹ですかぁ……。

そりゃ、YUKIは私より年上だけど……でも、兄妹はないでしょー……。



「……この歳で手を繋いで歩く兄妹とか、普通は居ないよね……」

「あぁ、そう言われるとそうだね。 うーん、じゃあサクラが幼稚園児って設定で行こう」

「もー……そういう設定要らないからっ」



そう言った私を見て、YUKIはクスッと笑う。

……さっきまで私は『カップルみたい』って勝手に思って緊張してたけど、YUKIが変なこと言うから なんかもうどうでもよくなっちゃった。


あれだね、YUKIはフジヤマに負けず劣らずの変な人だね。

見た目は全然普通のお兄さんなのに、フジヤマと同じくらい面白くて変な人だ。






「……あっ、ねぇYUKI、これからどこに行くの?」

「水族館。 ちょうどシャトルバスが来るよ」

「あ、ほんとだっ。 ていうか、もしかして調べてきたの?」


「まぁね。 初めから水族館に行くつもりで来たから」

「……そっかぁ……」



初めから水族館に行くつもりだった、ってことは、やっぱり『話』はないのかな?

まぁ、ないならそれでいいんだけど……。



「……わ、やっぱり混むね……」



水族館行きのシャトルバスに乗り込もうとしている人は、私たち以外にもたくさん居る。

さすが夏休み。

小中学生、高校生や家族連れが長い長い列を作っていた。