うちの弟がモテすぎて困る。




「はあ……」

その日の夜、私はいつもよりも長くお風呂のお湯に浸かっていた。心が落ち着く乳白色の入浴剤を入れて、アヒル隊長とにらめっこ。

あのあと志穂に相談したら迷わず「行ってきなよ!」と背中を押された。


瀬川先輩はいい人だよ。いい人すぎるぐらい。

優しいし男らしいし、私より背が高くて、男子の平均身長が縮んでるご時世で、見上げて喋れる異性なんて貴重な存在だよ。

私にはもったいないぐらい先輩はいい男だ。


そんな人が私のことが好き?

やっぱりありえないって思ってしまうけど、あんな照れた先輩の顔を見ちゃったらなぁ……。


「おい」

ブクブクと湯船に沈みかけたところで、結月の声がした。

しかもお風呂場のドアを全開にして私を睨み付けている。


「なな、なに?なんなの?」

乳白色でお湯は濁ってるし、生首のように頭しか出てないけど、普通お風呂場のドア開ける?


「てめぇ、いつまで入ってんだよ。さっさと出ろ」

「だ、だったら外から声をかければいいじゃん!!」

「かけたよ。脱衣場の前、次は中、ドアまで叩いて呼んでんのに返事しなかったのはお前だろ」

え、そうなの?全然気づかなかった。


「死んでると思って開けてやったんだから感謝しろよ。タコ」

たしかに私は2時間もお風呂に入ってしまっていた。