気づくと、朝になっていた。
きっと、あのまま寝てしまっていたのだろう。



重たい身体を無理矢理動かしながら私は制服に着替えた。
今日は入学式だ。



1階に行くと一ノ瀬家特有の喧嘩したあとの冷たい空気が流れてくるのが分かった。



私は少しでも速くこの場から逃げようと急いで朝食を口にいれ、いつもより速く家を出た。



入学式そうそうついてない…。



小さい頃からよく考えていたことがある。
それは、私はあの家に必要とされていないということ。



私の両親は他の親よりも一段と厳しい。
2人とも医療関係の仕事をしているからか昔から「医者になれ」と言われてきた。



私は小さい頃から夢を見ることさえできなかった。



他の親は喧嘩もせず、自由に夢を見せてくれると知ったときは神様を恨んだ。
「何で私は夢を見ることが許されないの?」
って。



どうせ、2人とも私のことなんて空気のようにしか思ってないくせに、いざとなったら親ぶって命令してくる。



そんな両親を私は世界一嫌っていた。