聖とのことがあった後、今度は純香さんからの挑戦状みたいな言葉を聞かされ、「負けませんから」とは言ったものの、あんな啖呵を切らなければ良かった…と、その帰り道では思い始めていた。




「何かあったのか?」


大輔さんは黙っている私の様子がおかしいと思ったみたい。車の運転をしながらチラ見して聞いてくる。



「何も」


多く語ると話さなくてもいいようなことまで喋りそうだった。
努めていつもの自分らしく見せていたつもりではあったんだけど……。


「ケイの嘘は直ぐにバレるからやめとけ」


見透かされてしまった。

純香に何を言われたんだ?と聞かれ、何も答えずにいたら返ってマズいと思った。

それで……


「純香さんは大輔さんのことをよく知ってるって。だから自分を越えていけれるかどうか張り合おうって……」


本当は少し違うけど、大輔さんに全てを話してもいけない。
私の意地みたいなものもあったし、何よりも純香さんは彼の大切な幼馴染である。


私には幼馴染と言えるような人はいない。
でも、もしもいたとしたら、その人はやはり普通の友人とは別格な感じがするだろうと思う。

その人のことを悪く聞かされたら気分も良くないと思う。だから、自分が頭にきたことは極力内緒にしておこうと考えた。



「……純香の言いそうな事だな」